エクセルVBA抽選ソフトの作り方を紹介していきます。
初回の今回は、参加者を乱数表に落とし込むところまでです。
後々に、この乱数表(抽選表)を使って当選番号が決まっていきます。
こんにちは、じゅんぱ店長(@junpa33)です。
今回から、エクセルVBA抽選ソフトの作り方を紹介していきます。
初回となる今回は、抽選のためのベースとなる「抽選表」の作成です。
抽選参加人数に合わせてフレキシブルに表示させることが必要になります。
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無料DL エクセルVBA 抽選ソフト!【重複なし対応】ダウンロードと使い方
コンテンツ
乱数表(抽選表)を抽選で利用する意味
エクセルを使って抽選をしようとしたときに、みなさんは、たぶん乱数表までは使っていないと思います。
このソフトで乱数表(抽選表)を使うことで、大きく3点の効果を見込みました。
- 抽選途中のプロセスを他の人(参加者)に見せることが出来る。
- 複数回、乱数を発生させることで無作為性と公平性を担保することが出来る。
- 一つの抽選会で、簡単に、内容の違う複数の賞を個別に設定できる。
抽選途中のプロセスを他の人(参加者)に見せる
多くの場合、そうだと思いますが、エクセルのRnd関数で抽選プログラムを作っていくときには、
「一つの列で1行目から順に乱数を発生させて、参加人数分の乱数値を取得する。」ということになると思います。
その方法では直ぐに、モニタ画面から乱数の発生行が見えなくなって、画面スクロールしないと進行結果がどうかさえも分からなくなります。
あるいは、当選結果だけを一覧表を使って画面表示するパターン(プロセスは抜きです)という方法もあるかと思います。
抽選作業をしているとは言っても、横から見ている応募者・参加者の人がいれば、何がどうなったのか、結論だけあっという間で、
「楽しむ隙間」もないでしょう。その人は結果にキョトンとしているだけではないでしょうか。
参加者(応募者)にとっての抽選の楽しみは「当選までのプロセス」です。
そこで、この抽選プロセスを見える化させるための、一つの解決策が「乱数表(抽選表)の利用」ということになりました。
全く完全密室の事務作業で進める抽選ではなく、
開催側でも「参加者には少しでも楽しんでほしいと企画した」抽選であれば、
そして、さらにお金と時間をかけて行う抽選であれば、パソコン抽選であっても
抽選にイベント的なおもしろ味は必要だと思います。
お金を払って、市販の有料アプリを使えばよいのでしょうが、
そこはそこ、予算面と手作り感も欲しい時が多くあると思います。
複数回、乱数を発生させることで無作為性と公平性を担保
イメージとして、一般的にコンピュータによる抽選は、手で行うものより公平という感覚はあります。
でも、一瞬で当たりはずれが決まれば、やっぱり「え?ほんと」という気持ちになってしまいます。
この「一瞬」で判明するのが、変な懐疑心を参加者に生み出す要因にもなります。
いい意味で、抽選には、参加者に期待させる「もったいぶる時間」が必要だということです。
この「もったいぶる時間」を作る方法として、その時間に複数回乱数を発生させることで抽選を行い、
同時に無作為性と公平性を担保していくという方法をとっています。
複数の賞を個別に設定
一つの抽選イベントで、内容の違う複数の賞を設定できて、
同時進行で抽選作業を実行することが出来ます。
単に参加人数分の乱数を一度に発生させ当選を決める方法では、すべての当選を一度に決めてしまうことが必要になります。
乱数を発生させる度に、前回発生の結果が上書きされてしまいます。複数回抽選するには、前回結果を保存していく作業が必要です。
エクセル関数式を使っている場合は特に注意が必要です。
エクセルVBAと乱数表を利用することによって、データの上書きを心配することなく、次の抽選を実行することが出来るようになります。
ビジュアル的にも、別セルに結果の書き出しと、乱数表(抽選表)上にそれまでの抽選結果を表示保存することが出来ます。
乱数表(抽選表)を参加予定人数に合わせて作る
エクセルVBAコードを説明します。
今回、乱数表を作成するVBAコードは「Module1」に記述します。
「Module1」に記述する全コードは、このような内容になります。
その内、乱数表(抽選表)作成に関係するコードは①から➄になります。
- プロジェクト内とモジュール内で利用する変数の宣言
- 乱数表作成するシートの初期化(クリア)
- シート全体をデフォルト(リセット)する
- 応募者数に応じた方眼紙の設定(乱数をはめ込むベース)
- 応募者IDを、それに対応した乱数を使って方眼紙に配置する
- ユーザーフォームに抽選名称を復旧させるコード
- ユーザーフォームに抽選項目を復旧させるコード
①プロジェクト内とモジュール内で利用する変数の宣言
代入された変数値をプロシージャー間で使い回す用の変数を宣言しています。
Option Explicit
Public Ar As Long
Public TYsheet, TOsheet, BUsheet As Worksheet
Public Title, EVD As String
Public Par As Long
Dim Ama As Long
宣言変数
- Ar・・・・ 方眼紙の行数
- TYsheet、TOsheet、BUsheet・ 「抽選会場」「当選者」「抽選項目BU」の各シート
- Title、EVD・・・・ 「抽選名称」「抽選日時」
- Par・・・・ 「抽選参加人数」
- Ama・・・・ 「参加人数の計算加工上の余り」
②乱数表(抽選表)作成するシートの初期化(クリア)
乱数表(抽選表)作成前に作成する場所「抽選会場」シートをクリアしておきます。
Sub クリアG()
Set TYsheet = Worksheets("抽選会場")
With TYsheet
.Cells.Clear
.Cells.UseStandardHeight = True
.Cells.UseStandardWidth = True
End With
Range("A1").Select
End Sub
③シート全体をデフォルト(リセット)する
何かの用件で、ソフトをはじめて使う時の状態に戻す場合のVBAコードです。
全てのシートを初期化します。
Sub クリアS()
Dim i As Long
For i = 1 To Worksheets.Count
With Worksheets(i)
.Cells.Clear
.Cells.UseStandardHeight = True
.Cells.UseStandardWidth = True
End With
Range("A1").Select
Next i
Worksheets(1).Range("A1").Select
End Sub
For ~ Next を使ってすべてのシートをクリアします。
For ~ Next の関連記事はこちらが参考になります。
④応募者数に応じた方眼紙の設定(乱数をはめ込むベース)
宣言変数
- SQRoot・・・・ 参加人数に応じた平方根
- Culc・・・・ 参加人数と近似平方値との差数
- Syo・・・・ Culcから計算した行の追加数
- n・・・・ 参加人数に合わせたセルサイズを指定する
コード設計のポイント
例えば参加人数47人の場合は、
47 = 6 ^ 2 + 11 になります。それぞれの変数には
Par = 47
SQRoot = Fix(Sqr(Par)) なので
SQRoot = 6
Culc = Par – SQRoot ^ 2 なので
Culc = 11
Syo = Culc \ SQRoot なので
Syo = 1
Ama = Culc Mod SQRoot なので
Ama = 5
が代入されます。
参加人数によって方眼紙サイズを変更します。
変数nをセルサイズを変更する係数として、参加人数に応じて変化させます。
方眼紙部分のセルについてベースの色を設定します。
Sub 応募者方眼紙()
Dim SQRoot As Double '参加人数の近似数の平方根
Dim Culc As Long '参加人数-平方近似数の余り
Dim Syo As Long '余りの行数
Dim n As Double '参加人数でセルサイズを変えるための変数
Set TYsheet = Worksheets("抽選会場")
TYsheet.Select
'参加人数が記入されているかを確認
If 選定ナビ.参加人数.Value = "" Then
MsgBox "参加人数が入力されていません。" & vbCrLf & _
"半角数字を入力してください。", vbOKOnly, "メッセージ"
Exit Sub
End If
'方眼紙の行数を計算
Par = 選定ナビ.参加人数.Value
SQRoot = Fix(Sqr(Par))
Culc = Par - SQRoot ^ 2
Syo = Culc \ SQRoot
Ama = Culc Mod SQRoot
'項目の表示設定
With Range("A1")
.Value = "【当選者選定プログラム】"
.Font.Size = 21
.Font.Bold = True
.Font.ColorIndex = 32
End With
Title = 選定ナビ.抽選名称.Value
EVD = 選定ナビ.開催日付.Value
With Range("A3")
.Value = Title & "-" & EVD
.Font.Size = 18
.Font.Bold = True
.Font.ColorIndex = 1
End With
With Range("J3")
.Value = "参加人数は、" & Par & " 人です。"
.Font.Bold = True
.Font.Size = 15
.Font.ColorIndex = 18
End With
'行数を修正する
Select Case Syo
Case Is > 1
Ar = SQRoot + Syo
Case Is = 1
Ar = SQRoot + 1
Case Is > 0
Ar = SQRoot + 1
Case Is = 0
Ar = SQRoot
Case Else
Ar = SQRoot
End Select
If Ama > 0 Then Ar = Ar + 1
Range(Cells(4, 4), Cells(4 + Ar - 1, 4 + SQRoot - 1)).Select
Selection.Font.Size = Application.StandardFontSize
'参加人数によって表示のフォントサイズを変更する
Select Case Par
Case Is < 625
n = 1
Selection.Font.Size = 9
Case Is < 3001
n = 1
Selection.Font.Size = 8
Case Is < 6001
n = 0.8
Selection.Font.Size = 7
Case Is < 10000
n = 0.8
Selection.Font.Size = 7
Case Is < 100000
n = 0.8
Selection.Font.Size = 5
Case Else
n = 0.6
Selection.Font.Size = 4
End Select
'セルサイズを変更する
With Selection
.RowHeight = 22.5 * n
.ColumnWidth = 3.13 * n
.Interior.ColorIndex = 34
End With
Cells.RowHeight = 22.5 * n
Range("1:3").RowHeight = 22.5
With Range("B2")
.Value = "全" & Ar & "行"
.Font.Bold = True
.Font.Size = 15
End With
Range("A2").Select
End Sub
整数値を取り出す関数FIXについてはこの記事を参考にしてください。
Int・Fix・Abs・Sign関数を使って数値の整数部分を完全分離
平方根を求める関数Sqr
Select Case ~ End Select ステートメントについてはこの記事を参考にしてください。
Select Case 条件分岐の使い方。ステートメントの基本はコレ。
With~End Withの使い方については、この記事を参考にしてください。
With~End Withの使い方。VBAコードを簡潔に記述する
メッセージボックスについてはこの記事を参考にできます。
Fontプロパティの使い方についてはこちらを参考にしてください。
セルの背景色についてはこちらを参考にしてください。
⑤応募者IDを、それに対応した乱数を使って方眼紙に配置する
宣言変数
- i、j・・・・ カウンター変数
- Tc・・・・ 乱数表上のセル位置を指定する(列)
- Tr・・・・ 乱数表上のセル位置を指定する(行)
コード設計のポイント
抽選参加者に付与されているID番号を、それぞれに取得した乱数を使って方眼紙(乱数表)に配置していきます。
それぞれ取得した乱数の並び替えは、Sortメソッドで行うのが高速です。
方眼紙への配置は、ソート順に左上のセルから行方向下へ順に配置していきます。
Sub 応募者配置乱数()
Dim i, j As Long 'カウンター変数
Dim Tc As Long 'セル位置(列)
Dim Tr As Long 'セル位置(行)
TYsheet.Select
'乱数発生のパターン化排除
Randomize
'乱数を発生させる
For i = 1 To Par
Cells(i + 3, 1) = i
Cells(i + 3, 2) = Rnd
Next i
'参加者人数分の発生させた乱数を昇順でソートする
Range("A4:B" & 3 + Par).Sort key1:=Range("B4"), order1:=xlAscending
'ソートした順位から乱数表への表示セル位置を決める
For i = 1 To Par
Cells(i + 3, 3) = i
Tc = i \ Ar
Tr = i Mod Ar
If Tr > 0 Then
Tc = Tc + 1
ElseIf Tr = 0 Then
Tr = Ar
End If
Cells(Tr + 3, Tc + 3) = Cells(i + 3, 1)
Next i
If Ama <> 0 Then
Range(Cells(Tr + 3 + 1, Tc + 3), Cells(Ar + 3, Tc + 3)).Select
Selection.Interior.ColorIndex = 0
Range("A1").Select
Else
End If
Range(Cells(12, 1), Cells(Par + 11, 3)).Clear
'項目の表示
Range("A4") = "賞名"
Range("B4") = "当選者数"
Range("C4") = "未決数"
For j = 1 To 6
Range("A" & 4 + j) = PrN(j)
Range("C" & 4 + j) = val(StrConv(PrQ(j), vbNarrow))
Next j
Range("A11") = "賞名"
Range("B11") = "当選順位"
Range("C11") = "当選者ID"
With Range("A4:C11")
.Font.Bold = True
.Font.Size = 13
.ColumnWidth = 11
End With
With Range("A4:C4")
.Interior.ColorIndex = 28
End With
With Range("A11:C11")
.Interior.ColorIndex = 28
End With
Range("A2").Select
For i = 5 To 10
Cells(i, 2) = 0
Next i
Columns("A").ColumnWidth = 20
TYsheet.Select
End Sub
乱数表(抽選表)を参加予定人数に合わせて作る まとめ
このエクセルVBA抽選ソフトの抽選のベースとなる乱数表(抽選表)を作成しました。
一つの抽選イベントについて、一つこの抽選表を作成することになります。
次には、この抽選表を使って、
抽選イベントの中のいくつかの〇〇賞の抽選を、抽選する賞の回数分この乱数表(抽選表)の上で行っていくことになります。
エクセルVBAを独学するために
エクセルVBAの独学のために参考となりそうな記事です。
何事も基礎の上に積みあがっていくものなので、基本は大切です。
エクセルVBAを独習するのに参考書は欠かせません。 参考書選びは自分に合った「相棒」にできるものを選んでいきたいです。
エクセルVBAの独習でおすすめ参考書を7冊選ぶ。良書との出会いは大切です
エクセルVBAの独習には動画学習という方法もあります。 目と耳両方を使って学習することでさらに勉強効率を上げることもできると思います。
エクセルVBA初級者がUdemyで動画学習する講座おすすめ5選と無料講座の上手な使い方。
今回の記事はここまでです。 最後までご覧いただき有難うございました。